認知症と生活習慣病--毎日の積み重ねが脳の未来をつくる。
認知症は高齢になってから突然起こる病気、と思われがちですが、近年の研究では、糖尿病や高血圧、脂質異常症、肥満といった生活習慣病と深く関係していることが分かってきました。これらの病気は心臓や血管だけでなく、脳の健康にも大きな影響を与えます。
生活習慣病が進行すると、血管が硬くなったり血流が悪くなったりします。脳は多くの酸素と栄養を必要とするため、血流の低下は記憶や判断力をつかさどる神経細胞にダメージを与え、認知症の発症リスクを高めます。特に高血圧や動脈硬化は、脳梗塞などを引き起こし、血管性認知症につながることがあります。また、糖尿病では高血糖の状態が続くことで、アルツハイマー型認知症のリスクが高まることも指摘されています。
重要なのは、認知症のリスクが高齢期になってから生じるのではなく、40代50代といった中年期からの生活習慣の積み重ねによって形づくられるという点です。つまり、生活習慣病の予防や改善は、そのまま将来の認知症予防につながると考えられています。
では、私たちにできることは何でしょうか。特別なことを始める必要はありません。塩分や糖分を控え、野菜や魚を意識した食事を心がけること、無理のない範囲で体を動かすこと、十分な睡眠をとること、そして喫煙や過度な飲酒を控えること。こうした日々の基本的な習慣が、脳と体の健康を守ります。
認知症は「年を取ってから考える問題」ではありません。今日の生活の選択が、10年後、20年後の自分の脳を支えます。将来も自分らしく暮らすために、できることから少しずつ生活習慣を見直してみてはいかがでしょうか?
加世田 俊 かせだ しゅん
1987年鹿児島大学医学部卒業。国立療養所南九州病院をはじめとする数々の神経内科での経験を経て、現在は新門リハビリテーションクリニック院長。博士(医学)。日本内科学会認定医、神経内科専門医、認知症サポート医、日本医師会認定産業医。
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